CB72
1960年に販売された名車CB72(シービーナナニ)は、ホンダのスーパースポーツの基盤となったモデルである。レースに参戦できるスペックを持ちながら、誰でも購入可能なバイクとして開発された。今回はCB72を紹介しよう。
CB72の特徴
CBシリーズ初の250ccバイクであるCB72は、現在の視点で見ればちょっとした旧車にしか見えないかもしれない。しかし、1960年代当時画期的なバイクとして登場したのである。パイプ式ダイヤモンドフレームやテレスコピック式フォームを搭載。当時のホンダ車は神社仏閣式といわれる角ばったヘッドライトが特徴だったのだが、それとは一線を越えた画期的なモデルといえよう。
4サイクル250クラスのエンジンは1951年に浅間山レースで優勝したCR71と同等以上の24psという高出力のエンジンを搭載したとことから、「トップで70km/h以下では走れません」というコピーを掲げるほど、ホンダは自信を持って送り込んだ。しかしながら、乗りにくいバイクではなく、一般道路でも走りやすい使い勝手のよさも兼ね備えていた。
ルックスも魅力的なもので、漆黒の塗装にクロームメッキのタンク、造形も素晴らしいエンジンとホンダらしさを再現している。輸出用モデルは赤い塗装もあったようだ。
中でも、メーターのデザインが秀逸でタコメーターとスピードメーターが一体となっていて、針が逆方向へ回転させた特徴的なデザイン。スピードと回転数が上がってくると針同士がケンカして見えることから通称「ケンカメーター」と呼ばれる。
排気音は現在のバイクにはない独特なサウンドが特徴的。いかにもキャブレターらしい器械的な音質なので、YouTubeなどでぜひ聞いてみてほしい。
最高速が145km/hあり、レーシングパーツも揃っていたことから、CB72からレースに参加したというアマチュアレーサーも多いのは納得だろう。
以降、他社も同様のモデルを販売していくが、高い耐久性がライダーの支持を集め、世界的にも人気を博した。そして8年間好セールスを記録。生産中はマイナーチェンジが行われたが、初期型から最終型まで基本設計は変わらなかったのである。
CB72の中古車
ストアされた状態のよいものがいくつか中古車として販売されていたりする。販売されたのが50年も前のモデルだからなのか価格が79~158万円(バイクブロスの中古価格帯から参照)とかなりの高額である。