NR750
ホンダNR750は1992年に発売されたロードレーススポーツモデルのバイクだ。当時520万円という破格の値段で販売されている。
ホンダNR750とは
チタンやマグネシウム、炭素繊維教科樹脂といった素材をつぎこんだ、コストを無視したマシンである。
特徴は楕円形ピストン。1ピストン8バルブの設計になっていて、バルブ数を増やすために楕円になっているというわけだ。なお、市販車で楕円形ピストンはNR750以外にはない。
1978年のロードレース世界選手権(WGP)500ccクラスに挑戦したNR500がモデルで、当時のレギュレーションで有利な2サイクルエンジンに勝つために、あえて4サイクルエンジンにした結果、楕円形ピストンになった。楕円形ピストンにすることでバルブ数を増やすことができ、よりエンジンをパワーアップできると考えたからだ。しかし、レースではうまくいかず、1979年に参加したレースはリタイアと予選敗退。1980年に2ポイントをとることができた。その後、1982年に2ストロークエンジンに変更したNS500によりWGPグランプリで優勝している。
1987年にはル・マン24時間レースにNR500を改良したNR750で出場。エンジントラブルによるリタイアという結果に終わった。
そして、1992年市販車としてNR750が販売されたというわけだ。最高速度は260km/hほどといわれている。
NR750の中古車
中古で販売されているNR750はほとんどなく、見つかったとしても応相談価格が多く、最安値でも500万円とプレミア価格で取引されている。限定300台のみの販売のため、タマが少ない。オーナーが大切に保管しているためなかなか出てこないのも理由だろう。
買取価格は約730万円(バイクワンのオンライン査定調べ)と発売当初の販売価格より高くなっていることから、その希少性がわかるのではないか。
NR750は販売された時期がバブル期ということもあり実現したものだ。しかし、発売直前にバブルがはじけ、キャンセルが相次ぎ数年新車が売れ残った状態だった。当時はあこがれの的ではあったが、1996年に教習所で大型自動二輪免許が取得できるようになり、大型バイクが発売されるようになるとそうではなくなっていった。それでも当時最新鋭の4ストロークエンジンはホンダのエンジン開発の礎になったものである。NR750は偉大なバイクなのである。